第40回帆船模型展 (3/8)

Photo Gallery of the 40th Exhibition 2015

様々な船


 和船の魅力

 

江戸時代、大型船建造を禁止された日本では、平底船で強度を持たせた船が発展した。沿岸航法で消費地と生産地との間を往来し、大量に物資を運搬した。その時代に思いを馳せながら船を作っていると、楽しみが広がってくる。

 



40-15

菱垣廻船

 

Higaki-Kaisen


年代:
19世紀
船籍:
日本
縮尺: 1/72
キット: ウッディジョー
製作者: 高橋 利夫
製作期間:
7ヶ月

 

Period: 19th Century
Nationality: Japan
Scale: 1/72
Kit: Woody Joe
Built by: Toshio Takahashi
Work devoted: 7 months

 


諸説の事情で陸路の整備が遅れていた江戸時代に、大量の物資を運ぶことができる沿岸航行の船として活躍した。西洋の帆船との違いに戸惑いながら製作した。設計者の意図に沿わないと後からの修正が難しくなるので最後まで考えることが多かった。材料が桧なので、削ると良い香りがして心地よく製作できた。

 

 

 

 

 


40-16 

ジャンク  

 

Junk


年代:
18世紀
船籍:
中国
縮尺: 1/100
キット: アマティー
製作者: 霞  崇 
製作期間:
8ヶ月

 

Period: 18th Century
Nationality: China
Scale: 1/100
Kit: Amaty
Built by: Takashi Kasumi
Work devoted: 8 months

 


ジャンクは古くからの中国の帆船で、船の特徴は船首尾が箱形でフラットなこと。セールの途中にバッテン(横棒)がつけてあり、これは帆の補強と操作をし易くするための工夫である。現代でも中国や東南アジアで見かける。尚古集成館、海洋国家薩摩の本に朱印船、琉球船の記事があり作りたいと思った。構造が同じで参考にして製作。キットは船首尾にプリントを貼るのだがシンプルに木目を活かして製作した。

 



40-17 

ビーバー

 

Beaver


年代:
1835
船籍:
イギリス
縮尺: 1/64
キット: 自作
製作者: 佐藤 憲史
製作期間:
5年

 

Period: 1835
Nationality: England
Scale: 1/64
Kit: Scratch Built
Built by: Kenji Sato
Work devoted: 5 years

 


船体長さ50mの小型外輪船、1836年ハドソンズ・ベイ・カンパニーがカナダ西岸の毛皮取引や探査のため派遣した。アメリカ大陸の太平洋側を航行した初めての蒸気船。タグボートや貨物輸送に使われたが1888年ヴァンクーバー付近で座礁し破棄された。

模型製作の楽しみは難しい部品の製作技法を考え、出来たときの達成感にある。今回は支柱が貫通している下段レール、排水ポンプ、極小シャックル、舵輪、羅針盤等である。

 

 


40-18

アーク・ロイヤル

 

Ark Royal 


年代:
1587
船籍:
イギリス
縮尺: 1/50
キット: アエロピコラ
製作者: 堀岡 長紀
製作期間:
5年6ヶ月

 

Period: 1587
Nationality: England
Scale: 1/50
Kit: Aeropiccola
Built by: Takenori Horioka
Work devoted: 5 year and 6 months

 


1587年建造、エリザベス一世女王に買い上げられ、1588年 スペイン無敵艦隊のイギリス侵攻の際、イギリス海軍の旗艦としてイギリスを大勝利に導いた。この船名は由緒あるものとされ、イギリス海軍では過去に4隻の船に使われた。キットは30年前のもので材質が悪かったので、キール、フレーム以外は木地仕上げにすべく調達した。舷側の色模様の塗り分けに苦労した。境目に細いテープに塗装して境目をはっきりさせた。

 

 


40-19 

観光丸

 

Kanko-Maru


年代:
1987
船籍:
オランダ
縮尺: 1/100
キット: 自作
製作者: 赤道 達也
製作期間:
9ヶ月

 

Period: 1987
Nationality: Netherlands
Scale: 1/100
Kit: Scratch Built
Built by: Tatsuya Akamichi
Work devoted: 9 months

 


観光丸は1855年(安政2年)に長崎海軍伝習所練習艦としてオランダより江戸幕府に贈呈された軍艦。江戸幕府初の木造蒸気船 旧名スームビング号(Scembing) 観光とは中国の易経の「観国之光」・・・(国の光を観る)からとった言葉。1987年(昭和62年)にオランダで復元船が完成、現在長崎のハウステンボスで就航している。自作のため部品の調達に苦労した。



 


40-20

監獄船(監獄用廃船)

 

Prison Ship (Prison Hulk)


年代:
18~19世紀
船籍:
イギリス
縮尺: 1/143
キット: 自作
製作者: 福田 正彦
製作期間:
10ヶ月

 

Period: 18~19th Century
Nationality:

England

Scale: 1/143
Kit: Scratch Built
Built by: Masahiko Fukuda
Work devoted: 10 months

 


18世紀から19世紀にかけて英国では廃船となった軍艦を主にナポレオン戦争の戦争捕虜の収容所として使用した。エッチングの絵葉書だけからの製作で、現在まだ製作途中。最終的には絵葉書のようなジオラマとして完成させたい。ヒノキの下張に梨の木を製材して上張りにしてある。水線下にも通風用の窓が開けてあり、鉄格子になっている有様を表現した。実際に廃船を表すためのウエザリング(年月を経た汚れ)が主題。

 

 

 


古代船

古代船の魅力

 


 

 


40-21

ザ・ヴァイキング・シップ

 

Oseberg Viking Ship


年代:
850
船籍:
ノルウェー
縮尺: 1/50
キット: アマティ
製作者: 田中 公詞
製作期間:
6ヶ月

 

Period: 850
Nationality:

Norway

Scale: 1/50
Kit: Amaty
Built by: Koji Tanaka
Work devoted: 6 months

 


人が木材を加工して造った初期の船。オーセベル船は1904年ノルウェー人考古学者ホーコン・シェテリークとスウェーデン人考古学者ガブリエル・グスタフソンによって発掘され、その地名からオーセベル船と言われている。

外板が鎧張りの船は初めての製作だったので一枚一枚の微妙なライン、重ね合わせに苦労した。フィギュアも当時ものと思われるものにし、37回の模型展、案内ハガキのイラストを参考にした。

 

 

 


40-22

スクレウ2

 

Skuldelev 2 


年代:
11世紀
船籍:
縮尺: 1/72
キット: DUSEK(チェッコ協和国)
製作者: 関口 正巳
製作期間:
4ヶ月

 

Period: 11th Century
Nationality:

---

Scale: 1/72
Kit: DUSEK
Built by: Masami Sekiguchi
Work devoted: 4 months

 


デンマーク、首都コペンハーゲンの西にロスキレーという街がある。この街は南北に走るロスキレ・フィヨルドの最奥部に位置し、街を外敵の侵入から守るために数隻の船を沈めて街を守った。このスクレウの海底で見つかった通称スクレウ2と呼ばれるロングシップを模型化した。製作は基本的にキットの組立説明書に従って忠実に製作。但し、楯の製作は右舷のみ作り易さ(切削)の関係から中心部の材料を木材から真鍮材に代えた。

 

 

 


40-23

エジプトの古代船

 

Egyptian Ship


年代:
BC2500
船籍:
エジプト
縮尺: 1/50
キット: アマティ
製作者: 松下 利夫
製作期間:
3ヶ月

 

Period: BC2500
Nationality:

Egypt

Scale: 1/50
Kit: Amaty
Built by: Toshio Matsushita
Work devoted: 3 months

 


カイロ郊外のギザのピラミッド群が造られた頃、エジプトとギリシャ方面と木材、合金、薬品などの交易に使われた船。マスト基部には直立し易いよう、重りとして石が使われ、帆は船尾からの風がある時に使い、風が無い時はマストを倒しておく構造になっている。

船体には金物(釘)は使わず、すべてロープ張りで造られていて船体各所に穴を開けて、ロープを採り付けるのに時間がかかった。

 

 

 



 42-27 オランダ海軍省の造艦会議 1:33 坪井悦朗 TSUBOI Etsuro
42-27 オランダ海軍省の造艦会議 1:33 坪井悦朗 TSUBOI Etsuro