1908 フランス
1/50 アルテサニア・ラティーナ社
青木 武 Takeshi AOKI
フランス北西部、ビスケー湾に面した漁港コンカルノのマグロトロール漁船。マグロ漁には頑強に波に立ち向かい、十分に足の速い船が必要とされた。50~60フランス㌧、12人乗り。キットはかなり省略されているので、船体の一部の材料、部品等を作り直した。19世紀の船のため艤装品に金属が多く、マストのアイボルトに銅版を巻いて補強し、金属材料を多用するよう心掛けた。
1908 フランス
1/50 ビリングボート社
白井一信 Kazunobu SHIRAI
以下9隻のマリー・ジャンヌはあるグループで教材として製作したもの。精密なフランス海洋博物館の図面を配付し「本物」を研究しつつ、キットのグレードアップを図った。当初は単なる漁船と簡単に考えていたが、工作が進むにつれ船型の面白さと細部の複雑さに惹かれ、かなり真剣に取り組むことになった。また色彩はヨーロッパの漁船をイメージして各自のオリジナリティを生かすようにした。私も結局キットを使用したのはキールとフレームのみで、その他はすべて自作することになってしまった。
1908 フランス
1/50 ビリングボート社
浅川英明 Hideaki ASAKAWA
主に伊東屋帆船教室を卒業した仲間20人とグループで同じ船を作った。「本物を知ろう」を合言葉に、フランス海洋博物館の精密な図面に合わせてキットを改造していった。同じ部品を納得のいくまで何回も作り直したり、艤装は縮尺にこだわり大方自作したり、パーツを交換したりして製作時間が予想以上にかかってしまった。
1908 フランス
1/50 ビリングボート社
前川政司 Masashi MAEKAWA
グループで同じ船を構造、機能、時代考証、工作方などを勉強しながら製作した。過去6隻の製作経験もあり、小型船であることから簡単に考えていたが、製作が進む過程でその奥の深さを痛感させられた。しかし実に楽しい製作でもあった。
1908 フランス
1/50 ビリングボート社
岩本和明 Kazuaki IWAMOTO
今まではキットをそのまま組み立てただけだったが、今回はフランス海洋博物館の図面に従い、ウィンドラス、ポンプ、マスト等を自作したので時間がかかった。ウィドラスの歯車は1㍉の真鍮版から削り出した。また甲板材はカエデ、その他の生地仕上げ部分はマホガニーを使っている。
1908 フランス
1/50 ビリングボート社
横山士郎 Shiro YOKOYAMA
帆船模型作りが趣味の仲間十数名が一つの船を作ったらどのような結果になるかと選ばれたのがこの船。外板張りなどの船体工作はさほど難しくなかった。一方塗装と細かい金属部品の製作に手間がかかったが、どうにかクリアーできた。
1908 フランス
1/50 ビリングボート社
関口正巳 Masami SEKIGUCHI
キットのキールは反りがひどく、5カ所を切断して修正した。またフレームもコンピュータ処理によるカットということで完全に左右対称と信じていたら、これが違っており修正を余儀なくされた。途中でAAMMの図面が手に入り、その圧倒的に詳しい内容に魅せられてこの図面に従った。このため、寸法的に大きめのキットのパーツ類を使うことができず、ほとんどスクラッチビルトになってしまった。
1908 フランス
1/50 ビリングボート社
渋谷 篤 Atsushi SHIBUYA
今までに制作したのは17世紀の船が主体であった。kぉン界は現在も活躍している船なので、特にリギングには大変な違いがあり、小物の金属部品が多いのにはいささかびっくりし、手間取った。また、外板の塗装については、手塗の筆むらが心配なので、市販のスプレーを使用したが、色が限定されるので船底に苦労した。
1908 フランス
1/50 ビリングボート社
阿座上太 Futoshi AZAGAMI
主に途中で手に入ったフランス海洋博物館(AAMM)の図面を参考にして製作した。キットの図面とAAMMの図面の2つを見比べながら作ることで、従来なら見逃すような細かい複雑な図面の読み方が非常に勉強になった。できるだけ実物の感じのあるものにしたいと思って自作した部品も多く、キットの部品がたくさん余った。この経験を生かして、今後スクラッチビルトに挑戦してみたいと思っている。
1908 フランス
1/50 ビリングボート社
梅田安次 Yasuji UMEDA
製作途中で手に入ったAAMMの図面に従って部品をすべて手直しし、また新たに製作した。特に甲板上にある小さなポンプの製作にあたり、その半田付けには苦労した。
1921 カナダ
1/65 ビリングボード社
古屋白夫 Akio FUYAR
カナダのタラ漁船。1921年の国際フィシャーマンズレースで優勝以来、17年間不敗を誇り、カナダではその栄誉を称えてコインや切手のデザインに採用された。初心者向きのキットで制作に特に苦労はなかった。ただ塗装には一番苦心する。喫水線の塗り分けにハイテクのマスキングテープを使用したら、剥がすときに下塗りまで剥がれてしまい、やり直しを余儀なくされた。またキットの帆に縫い目の線がついているが、太く硬すぎ、そのうえをミシンの張りが真っ直ぐに動かず、結局ミシンはやめてしまった。
20世紀前半 中国
1/100 スクラッチビルト
竹本喜道 Yoshimichi TAKEMOTO
14~15世紀、ジャンクの先祖は現在よりも巨大で、すでに隔壁構造を持っていた。帆走性能に優れていたが、15世紀以降発達しなかった。しかし現在も河川、沿海で使われている。ジャンクの隔壁構造は竹からの発想と言われている。模型は左舷側をカットモデルにした。西洋の帆船のストラクチャーモデルとは違い、単なるカットモデルであるが、ジャンク特有の船体構造、船内の様子がわかるようにした。リギングがよくわからず、いろいろと写真や文献を探したが、まだ十分とは言えない。
1931 イタリア
1/84 マンチェア社
鳥山睦郎
各国の練習帆船が白を基調としている中で、この船は19世紀のフリゲート艦風の特徴ある塗装がなされ、船尾には古典的な回廊がある。また船橋は木目を生かした外観を持つ。船首左右の40㍉機関砲はいかにも海軍の練習船である。21回の展示会には船体までの未完成で出品した。今回どうしてもフルセールの姿をと、途中で投げ出したいと何度も思いつつ、公開中のベスブッチを目にすると俄然意欲が湧き、歯を食いしばって完成させると心に誓った。
1942 スペイン
コンストラクト社
田中公詞 Koji TANAKA
中の船は地中海タイプの小型船で、帆装はブリッグやスクーナー型など。釣り船、遊覧船、運搬船として使われた。小さいとは言え、骨組みを作るのに手間がかかる。実際の造船所を見たことがないので、休みを利用してどこか見学し、それらしい雰囲気が出せたらと思う。最近はすごい出品が多いので一つくらいはこういった初心者向けの息抜きになる作品があってもいいのではと考えた次第です。
1946 イギリス
1/50 ビリングボード社
肥田 純 Jun HIDA
1946年スウェーデン海軍士官練習船としてストックホルムの海軍工廠で建造された。1947年に英国海軍に譲渡された後、1年間かけて改装され、帆走練習船として活躍している。姉妹船にFalkenがある。豆球による照明を入れたので工作手順と塗装には苦労した。深夜、電気を消して船に点灯し、海に思いを馳せながら一杯飲むと、製作の苦労も吹っ飛びます。
1960 イタリア
1/24 コーレル社
宮島 豊
イタリア、ジェノバの造船所で建造された大型ケッチ。1/24スケールが好きで、昨年出品の鳥山氏の作品を見て制作意欲が湧き、1年で完成にこぎつけた。船体中央部のカーブが一番きれいに見えるよう、木部用のエポキシ成形パテと2種類のサーフェサーを各所に使用。これだけ大きな船体になると、外板のへこみや隙間が目立つ。夏場の約1か月間、庭で成形と磨きを繰り返したがこれには参った。実践を見たいと、5月にイタリアの港町巡りに出かけ、参考になるヨットを多数見てきた。
アメリカ
モデルシップウェイ社
栗田善一郎 Zenichiro KURITA
ボルティモア市が建造した19世紀のボルティモアクリッパーのレプリカ(復元船)。モデルシップウェイ社のキットは大変詳細な図面と解説書がついている。しかし、これらに従って忠実に製作することはなかなか大変であり、部分的には省略せざるを得なかった。特に船尾の立体構造は大変で、あらかじめ主要部分の型紙を作り、それに基づいて個々の部品を作り、組み上げた。船名は0.5㍉の黄銅線を折り曲げて作った。ボートはキットの薄板積層方式をそのまま採用した。
スクラッチビルト
宮島俊夫 Toshio MIYAJIMA
シェードの汚れたアメリカ製スタンドに、ステンドグラスのシェードを作ろうと思い、船の出る図柄を考え、ホメロスのオデッセウスの航海に定めた。改めてイーリアス・オデッセイアを読み、ゼウス・パリスの審判、トロイ戦争におけるアキレウスとヘクトルの一騎打ち、オデッセウスの苦難の旅、航海を邪魔するポセイドン、目をつぶされたキュークロプスの襲撃、サイレンの誘惑、そして帰国して反逆者を射殺すまでをデザインした。円筒のため、入れたくない縦の切れ目を多くとらなければならない。全体の半田付けが終わるまで型からはずして光の効果を見ることができない。ガラスのかけらは飛ぶ。ステンドグラスは血の滲む作業である。