ライト兄弟が初の有人飛行に成功したのは1903年なので、飛行機の歴史はまだ100年しかありません。船の歴史は一桁違って6千年です。蒸気船が登場したのは19 世紀に入ってからなので、風の力を利用した帆船が船の歴史そのものです。帆船模型工作は、風を合理的に利用した人類の知恵の固まりの再現を手作りで楽しむ醍醐味があり、奥行きが深い趣味です。
「切る」、「貼る」、「削る」、「曲げる」、「塗る」・・・これらの模型工作動作の全てが入って、工作の知恵や工夫も楽しめるのが帆船模型工作です。プラモデルで満足できなくなったモデラーの皆さん。帆船模型は作る楽しみもあれば、完成後、長期にわたってじっくり眺める、眺めてもらえる(?)楽しみもあります。
船模型工作仲間には、市販のキットと取り組む人、市販のキットを改造する人、何もかも自作という人がいます。同じ手作り仲間でも、集中短期完成派、仕事の 合間のゆっくり派、本物そっくりの凝り性派、構造重視派、色彩重視派、ジオラマ派・・・とひと様々。それだけに、仲間の個性の新たな発見と交流も楽しめる 趣味です。
まず、市販のキットから始めてください。根気よくやれば必ず完成します。帆船模型の面白さは、それぞれのレベルで楽しめることです。好奇心をもって、経験を積めば積むほど上達します。
速い人だと数カ月で完成させています。また一方で数年にわたり大作を作り続ける方もいます。「作品」のページには各作品の製作期間も載せているのでご参照ください。市販のキットには、図面と木材(小辺)と若干の金属部品が入っています。プラモデルと異なり、木材や艤装品、ロープワーク等をすべて自分で加工する必要がありますから、時間をかけながら、マイペースでゆっくり製作過程を楽しみましょう。製作年数が長いと出来上がったときの達成感もそれだけ大きいと思いますし、完成した模型は、それにかける時間に比例して愛着が増すといわれています。
自己流でやっていると、かならずどこかでわからなくなって行き止まることがあります。ザ・ロープでは毎年、初心者を対象に帆船模型教室を開講していますので、受講されることをお勧めします。プラモデルの世界に満足できなくなってきた方、木製帆船模型キットを購入したものの中身を見て尻込みされている方、我流で工作を始めたが途中で手が止まってしまっている方、未経験の方、初心者でスキルアップをお考えの方は、ぜひどうぞ。
皆さんそれぞれにお家事情がありますが、食事が済んだあとの食卓で工作することもできます。ご家族の了解を得て、小さなスペースが設けられればベストです。お子さんが大きくなって独立されたらその空き部屋をそれに充てている方も多いようです。寝る場所と兼用の工作室をもっている会員もいます。
キット製作のばあいは、学校で工作用に使った彫刻刀、カッター、定規などがあればもうはじめらられます。経験を積んでくるとキットによらないスクラッチビルドに挑戦したくなりますが、そのときは電動工具なども必要になってきます。
あせらず、あきらめずに最後までやり抜くことです。完成したときの達成感は格別です。1日に10個の滑車を作ったらそれでよいのです。1か月もあれば1隻分の300個できます。
ひと昔まえまでは帆船模型は「男のロマン」といわれたこともあり、帆船模型は男性の趣味と誤解されている方もいますが、決してそのようなことはありません。会員にも教室受講生のなかにもれっきとした「モケジョ」がいます。
ザ・ロープは「キングズ・ホビー」といわれる帆船模型の製作を趣味とする「紳士的な仲間の集まり」です。年4回の例会のほか、研修会も年4回開催しています(「活動」を参照ください)。製作仲間であると同時に人生の仲間でもあります。会員の年齢構成は20代から90台まで、平均年齢はおおよそ75歳前後です。求めよ!さらば与えられん!です。
こちらもどうぞご参照ください⇒「平成帆船モデラー川柳」