第28回帆船模型展-1

Photo Gallery of the 28th Annual Exhibition 2003


17世紀以前の帆船


28-01

クフ王の船
Ship of Pharaoh Cheops
BC2650 エジフト
1/40 スクラッチビルト
津久居 廣 Hiroshi Tsukui

エジプト船に造形の深い津久居さんこだわりのエジプトものである。1954年にエジプト クフ王のピラミッド南側で発見された現存する最古の木造船である。この船の特徴は船体中央にキールがなく、船体内側(ブルワーク)に沢山のビームを取りつけクサビとロープでビームと船体を結合する構造にある。船の姿もパピルスで造られた原始時代の半円形をした優雅な形になっている。



28-02

鄭和の巨大ジャンク
Junk
1405 明国(中国)1/200 スクラッチビルト
野上吉彦 Yoshihiko NOGAMI


ジャンクを追いつづける野上さんが、中国の方の協力で集めた資料から長年かけて製作した巨大ジャンクである。この船は明朝の永楽帝の命により鄭和が創立した海軍全艦隊62隻のうちの1隻で、中国が世界に先駆けて開発した羅針盤、航海図および航海術により1405年東アフリカ、アラビア地域に大遠征を行って通商を結んでいる。遠征は以後7回行っているか、いずれもバスコ・ダ・ガマがインドに達する半世紀前であった。



28-03

ハーフ・ムーン
Half Moon
1600年頃 オランダ 1/50 コーレル社
彦澤 正明 Masaaki HKOSAWA

英国の探検家ヘンリーハドソンが1609年オランダ東インド会社からの依頼によりヨーロッパから西回りでインドに行く航路を見つけるために使った小型ガレオン船で、新大陸のハドソン湾を発見した。ガレオン船は船首楼と船尾楼が高くなっていて、船首最前部の隔壁(ビークヘッド)では掃除用モップを吊るして洗浄することもあったので、模型で再現してみた。船首と船尾の高さは17世紀には低くなっていき、船は大型化していった。



28-04

ハーフ・ムーン
Half Moon
1600年頃 オランダ 

1/50 スクラッチビルト
  堀川 冽 Kiyoshi HORIKAWA

オランダで商船として建造された堅牢なガレオン船で、英国の探検家ヘンリー・ハドソンがヨーロッパから西回りでインドに行く航路発見の航海途中に現在のハドソン湾を発見した。この地はオランダ植民地時代ニューアムステルダムと呼ばれたが、英国の占領によりニューヨークとなった。本船は1909年担って復元されたが、1939年に消失し、再度1989年に復元されている。



28-05

ハーフ・ムーン
Half Moon
1600年頃 オランダ 1/50 コーレル社
 上杉孝三郎 Kosaburo UESUGI

機会を得て伊東屋の帆船模型教室に参加。指導をいただきながら製作したのがこのハーフムーン。船首のカーブのきつい部分の外板貼りには大変苦労した。教室でお聞きしたことが生かしきれず心残りが多く、もう一度この船に挑戦するつもりです。



28-06

ソブリン・オブ・ザ・シーズ

Sovereign of the Seas
1637年 イギリス

1/75 マンチュア社
 森 久光 Hisamitsu MORI

 

チャールズ一世の時代に建造された第一級戦列艦で「海の帝王」という名をもつ。その大きさと攻撃力は当時のあらゆる船を凌ぎ、黄金色に輝く姿から「黄金の悪魔」と恐れられた。船体は生地仕上げとするため、外板材の色合わせやクルミ材の曲げに苦労した。帆船模型はこれで7隻目であるが、奥の深さに驚くとともに次作にどう生かしていくか、意欲をそそられる。



28-07 

ソブリン・オブ・ザ・シーズ

Sovereign of the Seas
1637年 イギリス

1/75 マンチュア社
田中 登 Noboru TANAKA

 

帆船模型チャレンジの2隻目。華麗な雰囲気を出せればと思い、全体の配色のバランスに気を使った。すべて自己流で細部の処理にまだまだ未熟なところもあるが、家内にもパーツの組み立て、ロープ張りなどを手伝ってもらい、楽しみながら製作した。



28-08

プリンス・ウィレム

Prince Willem
1651年 オランダ

1/100 スクラッチビルト
新井芳文 Yoshifumi ARAI

 

かつてのテーマパーク『オランダ村』がオランダに復元船の建造を発注し、長崎大村湾まで曳航して係留展示されていたおなじみの船。模型はキットから始めたが金属の装飾部品がオーバースケールのたま、レジンで複製しスケールダウンして使った。原船は1651年オランダ東インド会社(旗にVOCのマーク)の大型武装商船で、1652年の蘭英戦争により海軍に編入、軍艦に改装された。



28-09

フリースランド

Friesland
1663年 オランダ

1/75 マモリ社
岩本和明 Kazuaki IWAMOTO

 

1663年オランダで建造された砲80門戦列艦で、1672年の英仏連合軍を相手にしたソールベイ海戦ではデ・ロイテル提督の艦隊に加わって戦った。デ・ロイテル提督はこの時代における傑出した将軍といわれ、その大胆な作戦によって多くの勝利をオランダ海軍にもたらした。この模型は装飾が比較的多くて置物に適当と考え、6年前から作り始めたが、帆船の知識が増えるとともにやり直しも多くなりやっと完成させたもの。

 

 



28-10

プリンス

H.M.S. Prince
1670年 イギリス

1/78 アマティー社
高嶋広文 Hirofumi TAKASHIMA

 

砲98門の第一級戦列艦で、有名なビクトリーとともに英国を代表する華麗な帆船である。当時は建造前に模型を作り、国王と海軍省幹部の承認を受けており、その時の300年前の模型がロンドンの科学博物館に展示保存されている。船首と船尾の華麗さからしばしば本に掲載されているが、詳細な資料・図面は入手が難しく、キットの図面もあまり正確ではないため自分なりに修正して制作に3年かかった。

 



28-11

ベルリン

Berlin
1675年 ブランデンブルグ

1/40 コーレル社

永田研三 Kenzo NAGATA

 

 ブランデンブルグ侯国(現ドイツ)の海軍長官が、当時造船技術の優れていたオランダに発注して建造した砲18門のフリゲート艦である。17世紀、軍艦に等級が決まり、6級艦と呼ばれたものが18世紀のフリゲート艦に進化しており、その位置にあたるのが本艦である。船首、船尾のライオン像はオランダで建造された名残りで赤いライオンになっている。



28-12

モーダント

Mordaunt
1681年 イギリス

1/54 ユーロモデル社
加賀敏明 Toshiaki KAGA

 

1681年、スペインのモーダント氏がロンドン近郊のデプトフォート造船所に発注した私有の重武装艦である。当時、スペイン大使は私有船は警備が薄く、敵船に捕らえられて戦闘に使われる虜があるとして、武装と乗組員に制限を加えた。しかし、実際2年後に英国にだ捕され、軍艦として使われた。この船の模型はグリニッジの海事博物館に展示されている。

 

 



 42-27 オランダ海軍省の造艦会議 1:33 坪井悦朗 TSUBOI Etsuro
42-27 オランダ海軍省の造艦会議 1:33 坪井悦朗 TSUBOI Etsuro