1800年代 中国
1/50 スクラッチビルト
竹本喜道 Yoshimichi TAKEMOTO
15世紀(明代)の中国船の性能はヨーロッパ船を凌いでいた。その後はほとんど進歩しなかった。ジャンクはもともと川船から進化したのもので、隔壁構造の平底船ではキールはない。マストは中央でなく舷側にも配置され、舵は有孔舵にして操作性を良くしていた。
この模型は、本の挿絵や種々の参考文献から構想図、組立図、部本図など72枚の図面を起こして作ったもので、設計だけで8ヶ月を擁した。舷側の緩衝材は青竹風に作って束ね、航海灯は鉛筆のキャップを加工したもの。
1810年 イギリス
1/27 スクラッチビルト
松本善文 Yoshifumi MATSUMOTO
誕生石の名を持つこの船のネームシップ「ルビー二世」は1810年進水。引続き各月の誕生石の名をつけた12隻が建造された。主任建造官Mr. Takeuchiは全12隻の完成を見ずに世を去ったが、後継者達によってすべて完成されたと聞く(空想の軍艦史より)。
昨年ご逝去された竹内久氏の船であり、彼への追悼である。なお船名は竹内さんが生前着工されていた同級3隻中の1隻に命名されるはずだった名前をいただいた。また司令官姿の竹内さんは会員の宮島さんにお願いして彫っていただいた。
1820年 イギリス
1/48 スクラッチビルト
丹羽正 Tadashi NIWA
当初、砲10門のブリッグ艦として進水。2度の改装の後、1831年にダーウィン乗艦のうえ、南太平洋への探検航海を行った。細部に至るまで非常に詳しく描かれたアナトミーシリーズの図面による製作。キットとはあまりにも異なる形に面食らったが、できるだけ省略せずに作った。工法テストを兼ねた試作品のため、少々不細工なところもあるがご勘弁願いたい。
1833年 アメリカ
1/75 スクラッチビルト
青木武 Takeshi AOKI
インドから中国へ阿片を運ぶために作られた高速帆船。ボルティモアで造られたこの船はボルティモアクリッパーの原型とも云うべき帆船。船首が尖り船尾がU字型の船体の特徴を出すのに注意した。大砲は縮尺上2㍉の銅パイプに銅板を巻き、細部はパテで成形した。あれこれ考えながら資料を集め、部品の90%は手作りとなったが大変勉強になった。
1340年 アメリカ
1/40 マンチュア社
木村薫 Kaoru KIMURA
17~18世紀のアメリカ東海岸から西インド諸島にかけては海賊船、奴隷貿易船等の巣窟であり、また彼らを取り締まる官憲の船が右往左往していた。このような船は速さと操縦性の良さが必要であった。これらのうち2本マストのスクーナーが後のクリッパーの原型と云われるボルティモア/kぅリッパーであった。アルバトロスはボルティモア・クリッパーからクリッパーが造られる中間時期に造られた美しいクリッパーである。この船を作り始めてから大病を3回繰り返し、3年の歳月をかけて完成に漕ぎつけた。
1841年 アメリカ
1/64 モデルシップウェイ社
東 康生 Yasuo AZUMA
長い間眠っているスクリムショウがある。これを船台に生かしてやろう。それと、ミスティック・シーボートで沢山写真を撮ってきているから、考証には事欠かないはず・・・と、安易にスタートしたのだが、苦労の始まりだった。製作を進めるうちに、なんと肝心の所を写していない。意外や、図面もいい加減であると気づいたが、既に後の祭りだった。船尾飾りとペイントはキットを離れて現存する船のものにした。
19世紀中頃 アメリカ
1/16 モデルシップウェイ社
岩本和明 Kazuaki IWAMOTO
当時の捕鯨基地ニューベッドフォードで大量に造られた捕鯨ボート。捕鯨船に搭載されて活躍した。キットの解説書、図面は正確かつ丁寧で実船がどう造られたのかよく分かる。たかがボートと簡単に考えて作り始めたが、外板が一部クリンカー貼りになっていたり、途中で反ってきたり、予想外に苦労した。正確さ、組立や塗装の手順をよく考えることが要求される。フィギュアは縮尺の同じ第2次大戦のノルマンディー上陸作戦の米軍落下傘兵を改造した。
1857年 アメリカ
1/90 スクラッチビルト
安藤雅浩 Masahiro ANDO
1857年、ニューヨークで建造され税関部門で使われた。1861年、南北戦争では北軍に組みし調査活動等に活躍したが、南軍に捕らまり、船名もラビニアに代わって南部の綿を積み、北軍の封鎖線を抜けてハバナで武器と交換する作戦に従事した。モデルシップウェイ社のキットは1/128と小さいため、約1.5倍の1/90に拡大した。線図からキールとフレームを作り、艤装類もすべて自作。外輪の製作は一番難しく、木を曲げて作ったが強度が出ず失敗を重ね、最後は真鍮の角棒をハンダ付けして作った。
1864年 スペイン
1/24 ANFORAモデルキット社
関口正巳 Masami SEKIGUCHI
書籍でこういう潜水艦のあることは知っていたが、2000年春、ブルセロナの海事博物館でこの船の模型に出会う。その年の秋、フランスの玩具店にこのキットを見つけた。「もう買うきゃない!」キットは初心者向けか、意外と定年で写真入りの工程解説が入っている。しかし、ご多分にもれずフレームはだいぶ修正を迫られた。外板材料もキットのイラスト写真と比べて幅が狭いため、外側のみ幅広のものに交換した。