ミュンヘン Munich


 ドイツ博物館は51千平米の面積で50種の展示を誇るドイツ最大規模の科学博物館で、アルテピナコテーク美術館とともにミュンヘンのトップクラスのアトラクションとなっている。
ドイツ博物館は51千平米の面積で50種の展示を誇るドイツ最大規模の科学博物館で、アルテピナコテーク美術館とともにミュンヘンのトップクラスのアトラクションとなっている。

中央駅(Hauptbahnhof)から地下鉄で3つ目のイザルトール(Isartor)駅で下車し、看板に従って5分くらい歩くと、イザール川の中洲にある大きなドイツ博物館が見えてくる。


欧米の多くの博物館や美術館は月曜日が休館となるが、ドイツ博物館は月曜日も開館している。51千平米の面積で50種の展示を誇るドイツ最大規模の科学博物館で、アルテピナコテーク美術館とともにミュンヘンのトップクラスのアトラクションとなっている。

入場料は8.5ユーロで、英語の案内パンフレットもある。館内の表示はドイツ語と英語の併記で日本語のものは一切ない。お薦めは、入場する前に本館の横に あるショップで英語版のガイドブック7ユーロを購入し、写真を見ながら興味のある展示を見るのが効率的かと思う。海事関連は、入場したら大きなホールに実 大の船が展示されておりすぐに分かる。大きなホールの周囲に多くの模型が展示されているとともに、実大の船の横の階段をおりたスペースにも展示がある。忘 れなく見て回るようにする。なお、ミュージアムショップで販売されている書籍は豊富だが、皆ドイツ語版で英語のものはガイドブックのみ。海事関連は少な く、訪問記念に練習船の歴史に関する書籍を買い求めた。(後述参考図書参照)

 

今回は、この4月に所用の合間を縫って初めて短時間ながら海事関連展示のみを見て回ったので、興味を引いた展示を6点ご紹介したい。

 



その1 スタンスル(Stunsl)とウォータースル(Watersl)を見せる模型


増速するためにスタンスルを張り出し、スタンスルの下にもう一枚ウォータースルを足した。水面すれすれのところまで帆を張ったことが良く分かる模型。解説 によると130人の船員がリギングに携わったとある。デッキの長さ58.8m、ビーム12.2m. 船は、アメリカのクリッパーで,船名はPepulic、建造は 1869年、造船所はCrawford and Perkins, Kennebunk, Maine。模型の縮尺は1/50。

スタンスル(Stunsl)とウォータースル(Watersl)を見せる模型
スタンスル(Stunsl)とウォータースル(Watersl)を見せる模型


この模型では、展帆の 様子を船員のフィギュアを使って表現している。
この模型では、展帆の 様子を船員のフィギュアを使って表現している。

その2 四本マスト バーク 練習船 Norddeutscher Lloyd 展帆の様子を見せる模型

 

18世紀まで全盛を誇っていた木製帆船も、木材不足も手伝って19世紀に入り鉄材を利用した帆船へと進化し、これにより船も大型化が可能となった。マスト も高く、また帆の数も増えた。さらに、より機能的な帆の展縮も可能となり、日本でも日本丸や海王丸で展帆の様子を見ることができる。この模型では、展帆の 様子を船員のフィギュアを使って表現している。

船は、ドイツのブレーメン港を母港とするNorddeutscher Lloyd, Overall Length 95.76m, Beam 14.04m, DWT 4300t。模型の縮尺は1/50。



その3 捕虜が製作した模型 

Prisoner of War Models


1793年〜1815年のナポレオン戦争で、12万人にもおよぶフランスの水兵が英国の捕虜となり、彼らは厳しい捕虜生活中、図面も材料もない中で骨を使って帆船模型製作を楽しんだ。捕虜を解かれてフランスに戻り、彼らは象牙を利用した帆船模型製作技法を学ぶ学校を設立した。特に、La RochelleとDieppeが有名。展示されているモデルがいつどこで製作されたのかの表示はないが、アメリカの捕鯨船の船員が作成したスクリム ショーとともにすっきりと展示されている。

捕虜が製作した模型がすっきりと展示されている。
捕虜が製作した模型がすっきりと展示されている。


塩を運んだ船の模型展示。
塩を運んだ船の模型展示。

その4 河を行き来した船の模型


ドイツではライン河をはじめ河川が重要な交通路となり、船の進化が進んだ。現在でも閘門をいつくも設けて、ドラフトの浅い船が地上の道路と同じように行き 来している。南ドイツはザルツブルクのように塩がそのまま街の名前になって岩塩の一大産地だが、この塩を運んだ船の模型展示。単純な貨物を運ぶ筏と、船上 生活の様子を示す模型展示。

 



その5 ケッチ型 バージ船の実物大展示


博物館の海事展示ホールの真ん中に展示されている。解説では、このタイプのバージはエルベ河下流で興盛を極め、1900年には11000隻も活躍をしていたこと、また、18世紀より発達し、当初は1本マストであったが、牽引力を増やすためにマスト、帆の増加の様子が解説されている。

 

ポートサイドはカットされており、船の構造のみならず、船内の生活の様子も分かるようになっている。船には水槽も設置され、船員の生活用の魚も搭載されていたとの解説がある。展示されているのは Maria HF31という船で、1880年から1950年まで運用され、ハンブルグの船籍証明書の原本とともに展示されている。

ポートサイドはカットされており、船の構造のみならず、船内の生活の様子も分かるようになっている。
ポートサイドはカットされており、船の構造のみならず、船内の生活の様子も分かるようになっている。


帆船の発展過程をわかりやすく見せている展示
帆船の発展過程をわかりやすく見せている展示

その6 帆船の船体と構造の変化を歴史的に見せる展示
物資の運搬、軍船として船形が次第に大型化し、また耐航海性を求めて造船工法も発達したが、この展示はその過程を模型を使って分かりやすく見せている。



これらの他に、カヌーの発達の様子、様々なヨットの帆の貼り方のパターン、パドルボートでパドルを動かす蒸気エンジンやパドルの構造や操作方法など、科学 博物館らしく分かりやすく展示している。模型や展示物を駆け足でざっと見るだけでも楽しいが、ドイツ語ないし英語の解説を読み込みながら見学するとなる と、ように半日から1日はかかりそうなボリュームがある展示となっている。博物館の開館時間は9時から17時(入館は16時まで)。訪問時は丁度建物外部 の改修中であったが、ミュンヘン旧市街でガイドブックに紹介される教会など有名な建物の多くが同じく改修中で、一部見えなくなっている。バイエルンの南に は新白鳥城や世界遺産のビース教会もあり、今回ミュンヘン滞在中に足を運んだが、いずれも改修中であった。新白鳥城は2008年から今年まで大改修中で、 今でも一部城が見えないところがあった。二、三年前までは、足場が組まれたりネットで覆われて城が殆ど隠れ、訪れた観光客をがっかりさせたとは地元レストランの親父の話。観光、訪問の際には、事前に改修時期、開館時期、入場制限など調べておくことがベターと思った。勿論ドイツ博物館の場合は、こんな心配は無用ではある。

 

 

ミュンヘン中央駅にて筆者。後方に写っているのは乗車したICEで先頭は機関車
ミュンヘン中央駅にて筆者。後方に写っているのは乗車したICEで先頭は機関車

参考図書(一般旅行ガイドを除く)
Deutsches Museum, A guide to the exhibitions (ドイツ博物館、ガイドブック、英語版)
Die deutschen SCHULSCHIFFE 1818 bis heute, Otto Boenisch著、Koehler斜(本書はドイツ語、”ドイツ練習船 1818年から今日まで” 写真と仕様のリストが豊富)
モノが語るドイツ精神、浜本隆志、新潮選書、2005年
ビールを読む ドイツの文化史と都市史のはざまで、 森貴志/藤代幸一、法政大学出版局 2013年

ドイツ博物館 訪問の参考
閉館日時は以下の公式サイト(英語版)を参照
http://www.deutsches-museum.de/en/information/preislisten/admission-charges-museumsinsel/
行き方(公共交通機関利用の場合)
S-Bahn(高速鉄道)利用では、全ての線でIsarotr駅下車
U-Bahn(地下鉄)利用では、1号線と2号線でFraunhoferstrasse駅下車
Tram(路面電車)利用では、18号線でDeutsches Museumで下車、17号線でIsartorで下車。
ミュンヘン市内の高速鉄道、地下鉄の路線地図は、切符売場、ホテルなどに常備されている。
写真撮影は私的利用であれば可能でフラッシュも利用できるが、三脚利用は不可。

[コラム] ミュンヘン番外編…ビールと鉄道

 

東京からミュンヘンには、全日空とルフトハンザが毎日直行便を飛ばしているが、往路で12時間、復路で11時間の長旅となる。ミュンヘンといえば、 「ミュ ンヘン、札幌、ミルウォーキー」とどこかのビール会社の宣伝文句が真っ先に頭に浮かぶ。ビール会社も、日本のみならず世界的再編で大手の寡占化が進んでい る近年、地元ビールが次第に注目されている。ミュンヘンの地元ビールは2社ある。

 

一つはバイエルン州立のホフブロイで、HBのマークが有名。この地ビールも今では世界46カ国で販売され、アメリカで4、中国で2、インドで1箇所の工場 で製造されている。もう一つはアグスティーナで、こちらはオーナー会社のブランド。いずれも日本では瓶ビールが輸入販売されている。ミュンヘンに来たら 真っ先に地元ビールを楽しむに限る。特にホフブロイハウスは世界から多くの観光客を集め、ショップもあってマグやTシャツなども販売している。

ホフブロイハウス 1階部分の内部 屋根の絵が特徴
ホフブロイハウス 1階部分の内部 屋根の絵が特徴
フラウエン教会の横の路上 寒いのに皆外で楽しむ
フラウエン教会の横の路上 寒いのに皆外で楽しむ

 

 

 

アグスティーナのビアホールはそう観光客慣れしておらず落ち着いており、個人的にはこちらの方が好きだ。1リットルのマスと呼ばれる大きなジョッキより は、0.5リットルのグラスで、ソーセージや豚肉料理とともに冷たいビールで旅の疲れを癒すのが楽しみだ。このグラスには、ここまでビールが入ると0.5 リットルであるとの黒色の線が入っている。きっちり目方売りしているのがドイツらしい。また、ドイツには「ビール純粋条例」があり、「ビール造りに大麦の 麦芽、ホップ、水以外を用いてはならない」と原料を定めている。


ミュンヘンの旧市街は徒歩で歩き回ることもできるが、地下鉄と路面電車が便利だ。どちらも日本のような改札はない。切符を購入し、日付を入れる機械でスタ ンプ刻印をすれば利用開始となる。ゾーン別に販売されている一日券を購入するのがお薦めだ。時々社内で改札が行われるようで、乗車券を持っていないと40 ユーロの罰金となる。社会の成熟度や民度が高いと感じる。

 

 

S-Bahn 自転車持ち込み可 ドイツ国鉄車両
S-Bahn 自転車持ち込み可 ドイツ国鉄車両

(栗田正樹)

(※)スタッフブログに詳細な写真がありますのでこちらもご訪問ください。

[スタッフブログ] ミュンヘン訪問記(その1)

[スタッフブログ] ミュンヘン訪問記(その2)

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