ドバイ Dubai

 

 


商用でドバイにはこれまで冬に訪問してきたが、今回は初めて夏の訪問となった。日中の気温は摂氏40度を越え、ちょっとした覚悟もいる。今年の7月 からエミレーツ航空が羽田空港から直行便を飛ばすようになった。夜中の1時半に羽田を出発し、現地時間の朝7時にドバイに到着する運航スケジュールになっ ている。飛行は10時間超の長旅となるが、商用で利用するには東京とドバイそれぞれで時間を有効に使えるようになり、大分便利になった。
近年ドバイは中東の経済、観光の中心地を目指し、交通機関も含めてインフラの積極的な投資を進めている。超高層ビルや高級ホテルなどが林立し、空港のイン フラも充実し賑わっている。これに比べると成田空港や羽田空港は本当にローカルな空港だと毎回感じ る。エミレーツ航空はドバイをハブとして、世界の全ての大陸の都市に就航している数少ない航空会社の一つで、日本からはドバイ経由で欧州に出向く観光客や 商用客も多くなってきた。2009年のドバイショックで世界の耳目を集めたドバイだが、開発は一部中断したりペースは鈍っているものの、身の丈を踏まえか つ世界の重心たらんという志を高く保ち、徐々に回復しつつあるような印象を受けた。


ドバイ博物館…紀元前3000年から今日までのドバイの発展を展示

市内を流れる川の端に、1787年に建造され現在では最古の建造物の一つとなっているアル・ファフィディ砦があり、その一部がドバイ博物館となっている。紀元前3000年から今日までのドバイの発展を展示している博物館だが、真珠や漁業に加えて古くから中継貿易港としての位置づけにあり、精密模型はないがダウ船関連の展示が多い。



まず、目立つのは入り口の横の敷地に屋外展示されている実物大のダウ船で、周囲をぐるりと回って観察することができる。
まず、目立つのは入り口の横の敷地に屋外展示されている実物大のダウ船で、周囲をぐるりと回って観察することができる。
 

まず、目立つのは入り口の横の敷地に屋外展示されている実物大のダウ船で、周囲をぐるりと回って観察することができる。構造のみならず例えばトイレの位置 やその仕組みも良く分かるようになっている。博物館の入り口を入ると、まず、漁船や真珠取りに使った実船の屋外展示があり、近づいてすみずみまで見ること もがきる。

 



室外展示から空調の効いた地下の展示室に入り、順路の終わりになるとダウ船の造船の様子を紹介しているコーナーがある。面白いのは少ないスペースの壁全面 に鏡を設置して、見学者が立体的に造船の様子や構造が分かるように展示していることだ。実際の造船の様子を記録した映像もあり、帆船模型の船体の工作と同 じように隙間に合わせて木材を型取り埋めている様子や、モップで船大工がコーキングしている様子なども紹介され、私の手作業での模型工作と変わらぬものだ と思わずにやり。


造船展示のパネルには英語とアラビア語の記載がある。これを和訳をしてみると、「住民は常に海とともに生きてきた。船大工は身の回りにある材料と簡単な工 具のみで船を作ってきた。初期の二人乗りの船、現地用語でAl Shasha、ではヤシの木が使われてロープ類はココナッツの殻から作られた。Al Baanoushと呼ばれる船になると、木材の幹が使われるようになったが、造船技術の訓練などは行われず、簡単なのこぎり、金槌、物差しだけで作られ た。20世紀になり、年間50隻程度の船が作られたが、交易を通じてセール、ロープ類が導入され、真珠取りや漁労のための道具が発展した」となる。



ダウとは、ペルシャ湾、紅海、インド洋を走る木造船を総称した名称だが、船の用途によってそれぞれ呼称がある。展示解説によると、Al Bghlab, Al Boom, Al Bateelは遠距離航海用の船、Al Shouwee, Al Baggarah, Al Jalboutは真珠取りや漁労用の船、そして、沿岸や川で輸送につかった小型ボートはAl Houri, Al Shaboufと呼ぶとの解説である。私は、戦列艦よりは交易等に使われた実用帆船の模型工作に興味があり、ダウ船も構造などはシンプルだがその種類や周 りの交易文化も含めると奥行きが深そうで、リタイヤしたら資料を更に集めて自分なりに研究を進めてみたいと思っている。




博物館を出て、市内にあるダウ船の係留場所に出向いた。遠景からは写真が撮影できるが、係留場所は保税税関地区となっており写真撮影は禁止となっていた。 車でダウ船の係留場所は通過できるので、車内から目立たぬようの何枚かその様子を写真に納めた。案内人の話によれば、多くのダウ船はイラン向けの貨物を搭 載しているとのことだ。貨物の積み込みは人手とラフテレーンクレーン車が使われていた。食料品に加えて、タイヤ、家電製品などが目立つが、雑然としてお り、これでは密輸も容易いのではないかと感じた。


雑記

ドバイ観光アトラクションといえば、ドバイ博物館、砂漠ツアー、そして世界一の高層建築、巨大なショッピングモール(紀伊国屋書店も入っている)程度かな といった感じである。食事は日本料理を含め何でもあり。トンカツも日本料理レストランで賞味できる。ホテルでは酒も楽しめる。

 

世界一の高層建築であるブリュジュ・ハリーファは尖塔の高さ828メートル、160階建ての複合商業施設で2010年1月に開業した。最上階の高さは 621メートル、屋外展望室は124階にある。展望室からの眺めは迫力があるが、一方でドバイショックで街の発展が止まっている様子も良く分かる。

 

当初この建物の名前はブルジュ・ドバイと決まっていたが、ドバイショックで金策付かず、隣の首長国の王様が資金的に助け、建物の名前も開業直前にブルジュ・ハ リーファとアナウンスされ、ちょっとした騒ぎになったそうだ。命名はやはり金がモノを言う世界だ。入場は時間制となっており、事前に予約しておいた方が良 い。予約なしでも展望室に上れるが、料金が異なる。

 

お祈りの時間がくると、アザーンが拡声器を通じて街中に流れ、イスラム圏にいることを実感する。ホテルの部屋の窓にも、メッカの方向を示す印がある。ドバイを観光する際には、このブルジュ・ハリーファから街全体を眺め、その後にドバイ博物館がお薦め。時期は冬が良い。


(栗田正樹 記)


ホテルの部屋の窓にも、メッカの方向を示す印がある
ホテルの部屋の窓にも、メッカの方向を示す印がある

ドバイに関連した参考情報 Wikipedia
ドバイ
http://ja.wikipedia.org/wiki/ドバイ
ブルジュ・ハリーファ
http://ja.wikipedia.org/wiki/ブルジュ・ハリーファ
ドバイ博物館 (英語)
http://en.wikipedia.org/wiki/Dubai_Museum

ダウ船、ダウ船文化に関する写真集、書籍等

ダウ インド洋の木造機帆船 写真・文 門田修、発行(財)みちのく北方漁船博物館財団、2000年11月
Ronald Codrai, SEAFARERS OF EMIRATES, an Arabian album, A collection of mid-20th century photographs, Motivate Publishing 2003(大型本写真集)
Alan Villiers, SONS OF SINDBAD, The Photographs, Arabian Publishing 2006(大型本写真集)
Abdul Sheriff, DOW CULTURES OF THE INDIAN OCEAN, Cosmopolitanism, Commerce and Islam, Hurst & Company London and Zanzibar Indian Ocean Research Institute 2010


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