ワサに夢みし 酔いもせし

 

 

宮島 俊夫 

北欧へのスタートの成田空港のライオンで先ずは前途を祝して乾杯。

僕はギネスの生、小城、小松氏は国産の生、ギネスの方はクジ引きが あった。三角観を開いてみると、当然のようにはずれ。だがはずれにはシールを呉れた。このシールがなかなか魅力的な図柄だ。犀鳥が二羽巣に泊まり巣の中に はギネスの生が入っている。もう一枚はコップに注がれたギネスの泡がとぼけた顔になっている。はずれがこれなら当たりは何かと聞くと小ジョッキだと云う。 旅のスタートから荷物が増えるのは嬉しくないので、小ジョッキな話、はずれてよかった。

 

そしてあっと云う間の12時間でア ムステルダム空港へ。だが、ノルウェーのベルゲン行の待時間が5時間。それならオランダを一目見せろよ!時間つぶしはウインドショッピングと飲むか食うか しかない。海賊人形が睨んでいるパブレストランに入る。小城さんの知り合いの女性二人と5人連れでウェイターはディナーかと期待したが、つまみ2種と生 ビールのみで計算がはずれて残念でした。つまみの魚のマリネとジャガ芋はうままずかった。

 

 

 

5時間つぶすので前置きが長くなったが、会の性格上船以外の場所ははぶきます。ベルゲンは1年に400日雨が降るのだそう だ。金沢と同じに弁当忘れても傘忘れるなの土地柄だ。だが幸いに雨には逢わなかった。いや一寸降ったかな。ところでベルゲンの港はカラフルな建物に漁船が もやって結構なロケーション。建物の壁にはニシンを掴んだ漁夫の船首像がついていた。朝市が開かれていて様々な漁具類に混じって巨大な鰻鯨が平つくばって 上目づかいで見ていた。

 

 

観光コースになっているハンザ博物館が近くにある。ハンザ同盟時代の三角屋根の建物だ。外は派手な色だが内部は中世そのままの姿を止めており、世界 文化遺産に登録されている。船関係の書物によく出てくる通行証の本物が多数飾られている。普通のもので10センチ位、大きいもので30センチ位もある蟻型 のものだ。

 

ベルゲンの自由時間に海洋博物館に入った。のっけから僕の大好きな船首像が多数迎えてくれる。港で見たニシンを掴んだ漁夫像もあった。展示品は充実しており、中庭のシュールな船のモニュメントや天井から下がる船のモビールも楽しい。

 

海洋博物館からの帰路、町の中心トーグアルメニング通りにヴァイキングから現代の船員までをあしらった海の男の記念碑がある。4つの面に銅板のレリーフ。前には3人ずつの銅像が建つ。最初は上段にヴァイキング船、下段にトーテムポール。次は上段にキリスト像と2本マストの船。下段に海の怪獣に襲われた船。次は上段に捕鯨の場面、下段は女神像と造船の風景。そして最後は遠景に現代商船、前景に溺死者、下段に嘆きの家族と女神、そして各面に等身大の各時代の人物が立っているという立派なものだ。ベルゲンに満足して船でフィヨルドの観光、ノルウェーの国鉄でオスロへ。

 

午前中は自由なので、朝食前に小松さんと市内見物。僕は建築が好きなのでただぶらぶら歩く。中世の建物にセブンイレブンの看板が出ているのでびっくり。どんなものを売っているのか入ってみた。ニシンの酢漬けを購入した。その場面を小松さんがビデオで撮っていると、撮影してはいかんと叱られてしまった。日本でも展示にノウハウがあるとかでやかましいが、それほどのものかね?

 

午後はオスロの市内観光。バイキングはコースに入っている。バイキング船はデザインに使っただけで作ったことはない。バイキングのモニュメントをデザインしたトレーナーを着用して入館。精緻な彫刻を目の当たりにして感服。蔵書で見た怪獣の頭部は30センチぐらいの小さなものだ。信仰上のものだと聞いている。ここはバイキング船以外に見るものがないので、見学時間は30分ほど、我が連れ合いが来たときは15分だったと云う。兎も角ここでの最大の収穫はバイユーのタビストリーの小冊子があったことだ。ノルマン王ウイリアムのイングランド征服の絵巻の全場面が載っていた。僕はこれを清書する目的で集め始めたが、場面がつながらないで歯ぎしりしていたが、やっと完成させる見通しがついた。いつか発表したい。この後コースとしてはコンチキ号の見学だったが、僕等は海洋博物館に入った。だがここは期待はずれ、見るべきものはなく、ナンセン・アムンゼン乗船のフラム号でも見ておけばよかった。

 

ここからクラウン・オブ・スカンジナビヤ号でデンマーク・コペンハーゲンに向かう。5万トン級の船で船室も狭いながらも設備が整っている。小松さんと一緒の部屋はベッドが4つ、早速シャワーを浴びようとしたが、どういうわけかタオルがない。仕方ないので船員にタオルがほしいが売店はどこかと訪ねると、あなたの部屋は何番かと聞く。そんなことより売店はと思うのだがとにかく部屋に入った。そしてたたんであるベッドをたおすと、そこにタオルがあるじゃないの。そんなところに隠しておいてあわてさせるな。僕がシャワーを浴びているところにどんどん扉をたたかれた。素っ裸なのに困ったなと思いながら聞くと、小城さんもタオルがわからんと云う。場所を教えて一件落着。結構な夕食をいただき、時差の疲れも抜けてきて成田から持参のウイスキーの目方を軽くし、ゆっくりゆっくりの航海を楽しみつつ眠りに落ちた。

 

 

コペンハーゲンは家内の注文のロイヤル・コペンハーゲンのスープ皿を購入。海洋博物館もないのでスウェーデン・ストックホルムへ飛びます。ホテルは グローブ・ホテル名の通り、球形のホテルで今回の旅の中で一番よかった。そして自由時間に待望のワサ博物館へ出発。グローベンの駅からセントラル駅への地 下鉄の切符を買う。この切符で一時間以内はバスにも乗れるという。

 

我が国は交通費は高く、くださるものはコンクリートの塊 ぐらいだ。教えられた番号のバスに乗って目的地のユールゴールデン島に近づくとワサ博物館に讐えるマストが見える。話に聞いたとおり中は暗い。為にワサは 神秘的だ。二段になった回廊で隅々まで見られる。持参した船尾回廊の彫刻を本物と見比べてみる。全体にそう違いはなかったが、紋章の中央にある藁束が思っ たより盛り上がっているのは残念。今さら間にあわねえ。がんがんストロボを使ったので電池がなくなってあわてた。まだ撮りたいものがあるのに何だよ。しば らく休んだらまた働きだした。ここだけでフイルム4本位使った。

 

 

それにしても自作が完成する前に来たかったな。一寸疲れた のでレストランに入る。セルフサービス方式で選んだものを盆に乗せてレジで払う。小瓶のビールも一緒にテーブルへ。後から来た小松さんはテーブルについた とたんにビールを落としてガッチャン。首の部分が欠けて中身が8分目位残っていたが、ウェイトレスに掃除してもらってあらためてビールを持って帰ってき て、”金は取らなかった’’と云う。大らかな国だ。だったら前の残ったの飲んじゃえばよかったね。なんて飲んべえはいじがきたないんだから。帰る前に ミュージアムショップへ寄る。参考書もいろいろあったか、今はもう必要ない。砲門についているライオンの顔のブックエンドがあったが、25センチ位のガラ スの塊でものすごく重い。こんなの2つ持ったら腕が抜ける。同じく砲門のライオンとワサをあしらったネクタイとポスターを買う。レジに向かうと女子店員が けげんな顔をして、僕の胸を見ている。

 

そう我々3人の色変わりTシャツは僕の提案でワサが印刷されているのだ。我が意を 得 たりと我々は日本のシップモデラーだと説明し、持参した彫刻を披露すると、’’ファンタスティック”と喜んでくれた。帰り道武器博物館があるので寄ってみ ると、2000年オープンを目指して改装中で見られない。スペイン旅行の時はシエスタで見られずどうも武器博物館にはついてなかったが、ヴァラエティに富 んだ旅で充分楽しむことが出来たのである。

 

(ザ・ロープニュースNo.26 宮島 俊夫)