帆船モデラー川柳

川島荘介



 

帆船模型はどんなところで作っているのでしょうか?

 

 我が工房は狭く冷暖房完備(夏暑く、冬寒い)。

 従い、船作りは春、秋だけ。
 しかも気が向いた時だけ。
 一年かかっても出来ない訳です。

 一句

手を伸ばせば 大凡届く 道工具

 

帆船模型を作るにはどんな道具や機械が要るのでしょうか?

 

 使っている道具は昔倅が学校で工作用に使った彫刻刀など。
 電動工具は使う時だけ出してきちんとしまって置かないと小言を食らう状態。
 先輩から旋盤を頂いたが出すのが大変なのでしまいっぱなし。

 一句

大道具 出したらしまうの どうしましょ

 

よくもまあ根気が続きますね?

 

 船作り 今日もくたびれ 船を漕ぐ

 
 答えて一句

ボケ防止 丁度良いわと 家内言い

 船つくり 他にやることもなし 年金暮らし

 

クレームは来ないのですか?

 

 

 答えて一句

 近所への 迷惑無視で 舟が出来
 木くず出て 一日3回 大掃除

 

 

帆船模型のいったい何が面白いのでしょうか?

 
 一句

 キャプテンに なったつもりで セール張り
 下手な出来 なれども無敵 我が帆船
 ミシン掛け マスターしたわと 女房ほめ

 

 

こんなに沢山作った船はどうするのですか?

 
 答えて短歌風に

         手塩かけた舟の嫁入り決められず 家の置場は艦隊が占め

         逝ったあとゴミになるのは分かれども     やむにやまれぬモデラー根性   



浜松帆船模型友の会ザ・セイルの会長 西尾四良宗匠

われら帆船模型キチに寄せる「帆船製作つれづれ川柳集」より

 

1月14日の搬入日、力作・労作が次々と運びこまれて来る。晴々とした顔、安堵の表情に溢れる顔、取り出しながら少し頭をひねる自信無げな顔、作者諸兄のさまざまな思いのこもつた作品が次々と展示台に並べられていく。これらの船たちを眺めながら、船の向うに隠されたさまざまな苦労に思いをいたした。

 

初日、会場を訪れ、一門会長さんにお会いすると、「面白いものをあげよう」とコピーを頂いたのが、表題の西尾宗匠の川柳集である。句集の中から諸兄に身に覚えのあるであろう秀句(?)をいくつか取り上げて、感想を述べてみた。

 

船体は完成した。いよいよ購装の部品作りやキットの部品取り付けの工程に入る 。

 

 ピンセット 挟んで飛ば す  間の中    四 良

 

(安物 の ピ ン セ ッ トを 使 つ て い る わ け で は な い の だが ね ぇ ― )

 

 

 さつきから  探す部品は  できる頃    四 良

 

(製作10分!、捜索30分!ままよと再製作!)

出来上がってホンとしたらなんと足元の木屑の中に、はじめに作つたものを発見!こちらの方が出来が良くて、ますますがつかり!!)かくなる苦労を経て、ようやくリギングエ程に入る。かすむ目を叱咤しつつ、時には山勘で滑車に糸を通す。

 

 長い 目に 切つ た ロープ が 道違え    四 良

 

 

(やっとの思いで何とか滑草を通して、よくよく見ると一つ横!『ん。もう―!』)

 

今度は間違いなく通つたぞ!後は余分の糸を切つて仕上がり。だが、そうは聞屋が卸さぬのが世の習い。安心は早い。

 

  要らぬ糸 切つたつもりの 欲しい糸    四 良

 

(あれ?隣のうまく張れていた糸を切つちゃつた!)

 

私も宗匠にあやかり、尻馬に乗つて、腰折れ2首。

 

  苦労する ボ ルトロープの 縫い付けや  かえつて手間取る 下手の長糸    善 文

  

  たつぷりと 長目に切つて 糸通し  もつれ からまる 下手の長糸       善 文

 

か くし て 、工程 は 遅れ に 遅れ て 、

 

  未だ 出来ぬ 船を 待たない 除夜の鐘    四 良

 

(今年も紅白は見られなかつたな―。また搬入前夜は徹夜かな?)

やっとの思いで滑り込み、何とか迎えた展示会。

 

  お世辞でも 褒めて 行けぬか 展 示会    四 良

 

  不出来でも 悪い気のせぬ 褒め言葉    四 良

 

穏やかな心根の西尾宗匠であられる。私などは、いい年をしてそこまで達観できない。またまた宗匠の尻馬に乗つて、駄句3句。出来の悪い子ほど可愛いものである。会場でひそかにわが船の様子を窺う。

 

 

  わが愛船 素通りされて 落胆 し    善 文

  

  わが愛船 素通 り続き 腹が 立ち     善 文

 

  

 

や つ と 一人 わ が 船 の 前 に 立っ て くれ た 。

 

  飛んで行き 説明したや わが愛船    善 文

 

 

展 示会も 無 事 終 わ つ た 。 次 の 船 に 向け て 、

 

  謙虚なり 素直に受け入れ 腕を上 げ    四 良

 

まだまだ、未熟者。自己主張や個性の表現も大切であるが、船作りはかくありたきものと反省しきりである。

西尾宗匠失礼いたしました。

松本善文 

(2005.2.28 ザ・ロープニュースNO.47)


44-24 The Flying Dutchman by Takeshi AOKI
44-24 The Flying Dutchman by Takeshi AOKI

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